安珍と清姫 (1960)

小国英雄の脚本を島耕二が監督した、紀州道成寺にまつわる伝説からの悲恋物語。撮影は小原譲治。

監督:島耕二
出演:市川雷蔵、若尾文子、浦路洋子、片山明彦、毛利郁子、見明凡太朗

https://youtu.be/qL-aFP3W3jc

安珍と清姫 (1960)のストーリー

清姫(若尾文子)は紀州真砂の里の庄司・清継(見明凡太朗)の娘である。関屋の長者友綱(片山明彦)は清姫に縁組みを申出ていたが、彼女は見向きもしなかった。一日、狩に出た清姫は手許狂い、旅の僧安珍(市川雷蔵)を傷つけた。清姫は介抱した。清姫はおのれの美貌に目もくれず避けるようにする安珍にいらだたしさを感じた。火祭りの夜、傷もいえた安珍は雑踏をさまよう。その後を清姫がつけていた。やがて、安珍は山間の出湯に傷口をひたし、経文を唱えた。と、裸身の清姫が近づいてきたのだ。彼女は恋心を訴える。安珍は苦悶した。とみると、清姫は狂気のごとく哄笑し、湯気の中に姿を消した。

安珍は道城寺で修業にはげんだ。彼の心をもてあそんだ清姫は後悔にさいなまれていた。友綱が、真砂の里へ水を引くことを条件に、縁組みを強引に清継へ迫った。里の庄司としての清継の弱点をついたのだ。安珍の消息を聞いた清姫はじっとしていられなかった。瀑布で無心に経文を誦する安珍にしがみついた。過ちを詑びた。抱擁する二人の背後には虹が美しい弧を画いていた。

清姫は友綱との縁組みを承諾したという清継の言葉を冷くはねかえした。安珍は真砂の里の近くに来ていた。しかし、村のため清姫に会わないでほしいという庄司の館の下僕の言葉に、安珍はやむなく道成寺へひき返した。清継は、友綱への申開きのため自らの命を絶つ決心をした。苦しい息の下から、安珍と添いとげるように清姫に言い残して死んだ。下僕から安珍のことを聞いた彼女は、安珍の後を追った。清姫の姿を見た安珍は、一瞬ためらったが逃げるように駈け出した。日高川の舟着場にたどりついた安珍は、船頭をせきたて、舟を漕がせた。清姫がやってきたときには、舟はない。清姫は日高川に身を投げた。本堂で倒れていた安珍は夢を見た。清姫の体が大蛇と化し、梵鐘の中に身をかくしたおのが身をその炎で焼きつくすという夢を。安珍は清姫の亡骸を見つけた。

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